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RYULOG

龍太郎の雑記ブログ

僕が営業マン時代に経験した客とのバトル、一体どちらが悪いのか?

はま龍 はま龍-過去

やぁ。

 

最近PCデポの件が盛り上がっていて、僕も

 

企業が消費者にモノを売る際のモラル

 

というものについて改めて考えさせられた。

 

 

同時に、僕が不動産の営業マンをやっていたときのことをふと思い出した。

 

僕は不動産の営業マンとして働いた3年間の間で1度、客と激しいバトルをしたことがある。

 

後に詳しく書くが、PCデポの場合は

 

企業VS商品に対して疎い消費者

 

という構図だったが、僕が経験したのは

 

企業VS商品に対して知識のある消費者

 

という構図だった。

 

 バトルの性質は全く異なるが、お話しさせて頂こう。

 

 

登場人物

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まさに僕とバトルを繰り広げた客。

 

ちなみにこの人は僕と同じく不動産業に従事するお客さんで、不動産歴20年以上のベテランの方。

 

 

 

 

はま龍

 

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このブログの著者であり、客とバトルをした営業マンのはま龍

 

ご覧いただいた通り、いたって真面目な好青年という印象が伝わるはずだ。

 

不動産歴3年目で、まだまだ未熟だが新入社員の頃に比べれば多少は仕事の知識がついてきた頃だ。

 

問い合わせ

 

不動産業界では、

 

売主→仲介←買主

 

という風に、仲介業者が間に入り、エンドユーザーの接客をすることが多く、売主が直接的に関与する機会はそう多くないのだが、仲介手数料を払いたくないお客さんは、売主に直接問い合わせをし、直接取引をするケースがある。

 

で、登場人物のところで既に説明した通り、今回登場するお客さんは不動産の業界人である為、不動産の知識は豊富であり、特に仲介業者を通す理由がないので、直接問い合わせをしてきたのだ

 

 

メール「"今新築の物件を探して、御社の物件で目を付けている物件があるので今度の水曜日に現地を案内していただけないでしょうか"」

 

このようなメールが会社のパソコンに届いた。

 

会社のホームページの問い合わせフォームから直接問い合わせをしてきたのだ。

 

ちなみにこの問い合わせフォームには職業等を記入する欄があり、ここで初めて問い合わせをしてきた客が不動産業界であることを知る。

 

僕はそのメールに返信をする。

 

僕「"かしこまりました。では次の水曜日に現地でお待ちしております"」

 

 

しかし。

 

相手は20年以上の業界経験者。

 

僕は不動産業界3年目。

 

正直、めちゃくちゃ行きたくなかった。

 

だって明らかに自分より不動産の知識、建物の知識は豊富だろうし。

 

難易度の高い質問もガンガンぶつけられそうだ。

 

 

そして、こういうお客さんって大抵2パターンに別れるのだ。

 

 

1.自分が詳しいので、特に営業マンに質問することなく、黙々と物件を見定める客。

 

2.嫌がらせのごとく高度な質問をぶつけまくってくる客。

 

 

2に関しては、別に質問をぶつけまくることが悪い行為だとは当然思っていない。

 

中には嫌がらせの人もいるかもしれないが、純粋に疑問に思っている人もいるだろうし、どちらにしたって疑問に答えるのが営業マンの仕事だから。

 

同業者とはいえお客さんであることに変わりはない。

 

ただ、僕は1のパターンの客であって欲しいと心から祈った

 

当日

 

当日、現地で待ち合わせをし、時間通りに客は現れた。

 

そして一緒に物件の中に入り、若干ビビりつつも、いつものように設備の説明をしながら歩き回る僕。

 

 

しかし、客は「フーン」とうなずくだけで、全く質問をしてこない。

 

 

まさかこれは。

 

アレじゃないか。

 

 

1のパターン!

 

 

僕は安堵した。

 

 

そして散々物件の説明をし、建物内を練り歩くこと30分。

 

一通り見終わり、営業マンである僕はもちろん営業トーク全開で、資金計画等の説明する。

 

すると、なかなか感度が出ているようだった。

 

これはいける!

 

客は確かに盛り上がっていた。

 

このまま一気に畳みかけようと思い、その日中に僕の事務所に来てもらうよう提案

(なんかこう書くと話題のPCデポの件もあって叩かれそうだな。でも、これが営業マンという生き物なのだ。)

 

 

すると

 

 

客「そんな無理しなくても平気ですよ。僕も同業者だから気持ちは分かるけど、自分で買う気になったらちゃんと買いますから。今日か明日にまた電話します。」

 

 

やはり相手も同業者。

 

やんわりとかわされてしまった。

 

ただ、それでも相手の感度は結構高めだったので、僕は満足した。

 

 

そして、解散をしようとしたそのとき

 

 

客「あ、そういえば一個だけ聞きたいんですが。

 

この物件の窓ってLow-eガラスですか?」

 

 

Low-eガラスとは、簡単に言ってしまえば従来のガラスよりも断熱性能が高いガラスのことだ。

 

僕の会社の物件の窓ガラスはすべてLow-eガラスを使用する仕様だったので、もちろん

 

僕「はい、すべての窓でLow-eガラスを使用しております」

 

と回答をした。

 

 ただ、客はどうやら腑に落ちないようだ。

 

 

客「え、本当ですか?Low-eガラスって斜めから見ると緑がかかって見えるハズなんだけど、御社の物件の窓ガラスは全くそうは見えませんが?」

 

そう、確かに従来までのLow-eガラスは斜めから見るとうっすら緑がかって見えた。

 

しかし、最近のLow-eガラスは普通のガラスと見分けがつかないくらい透明なのだ。

 

そして、僕はそのままを説明をした。

 

しかし

 

客「えー、本当ですか?念のため会社戻って確認してみてください。」

 

と言われた。

 

 

もうね、完全に僕の知識の方が劣っていると思われており、信用されていないのだ。

 

 

ただ、それは客にそう思わせてしまった僕が悪い。

 

 

僕「分かりました、それでは確認してまたご連絡差し上げます。」

 

といい、その日は現地で解散をした。

 

そして、僕は事務所に帰り、建物の仕様書を確認してみると、やはり窓のところにはLow-eガラスと書かれている。

 

そしてその旨を連絡しようと思ったが、その日はもう夜遅かったので、翌日連絡をすることに。

 

翌日

 

きちんとLow-eガラスである確認をとった僕は改めて客に電話をかける。

 

僕「昨日のガラスの件ですが、当社の仕様書にもLow-Eガラスと記載してありましたので間違いありません。」

 

そう告げると予想外の返答が返ってきた。

 

 

客「あ、そうですか。それでは契約をします。」

 

 

ファッ?!

 

Low-Eガラスであるかどうかの連絡をするだけのつもりだったが、その電話であっさり契約をすることになった。

 

そして

 

客「今度の火曜日にそちらの事務所にお邪魔することにします。」

 

とんとん拍子に日取りまで決まった。

 

さらに客は続けてこう言った。

 

客「あ、ちなみにもう一度現地を見させて頂きたいんですが、今日一人で見に行ってもよろしいですか。」

 

 

通常であれば、お客さんが現地を確認しに行く場合は必ず自分も立ち会う。

 

だが、何ぶんこのお客さんは現役の不動産の営業マン

 

おそらく今度は自分一人でじっくり見たいのだろうと思い、承諾をした。

 

 

そしてその日の夜、再度電話がかかってきた。

 

日中の電話のときとはトーンが明らかに異なっていた。

 

 

客「今日物件を見に行ってガラスに印字されている型番を確認したんです。

で、印字してある型番と同じシリーズのガラスを、その商社のホームページ見たんですがどこにもLow-Eと記載されておりませんでした。

 

これ、やっぱりLow-Eガラスじゃないんじゃないですか?」

 

 

ちょっと怒り気味にそう話す客。

 

いや、そんなはずはない。

 

仕様書には確かにLow-Eガラスと記載されているし、仕様書よりなによりLow-Eガラスを使用することは会社で統一されているのだ。

 

商社とは何千回と同じ取引をしているのだから、この物件だけ間違えて違うガラスを使用するなんて逆に難しい。

 

 

そして客は続ける。

 

 

客「おたくの会社の仕様書じゃなくて、もっとしっかりした裏付けとって連絡くださいよ。」

 

そう言って電話を切る客。

 

 

oh...

 

うちの会社の仕様書ではなく、もっと客観的裏付けの提示が必要になってしまった・・・。

 

僕はとりあえず、建物で使用される材料の商社と直接受発注を行う工事担当の部署に連絡をし、上記のような問い合わせがあった旨を報告。

 

そして工事担当者に商社と連絡を取ってもらい、使用しているガラスがLow-Eであるかどうかの確認を取ってもらうようお願いする。

 

商社からの回答が得られれば客も満足するだろう、そう思ったのだ。

 

契約日前日

 

そして契約日前日になり、ようやく工事担当の部署から連絡が来た。

 

 

工事担当者「商社に確認したけど、間違いなくLow-Eガラス使用しているらしいよ。」

 

 

僕は安堵した。

 

やはり間違いではなかったのだ。

 

何より今日は契約日前日。

 

あそこまで自信満々に答えておいて間違っていたらごめんなさいでは済まない。

 

とりあえずその旨をすぐに客に伝える為、電話をかける。

 

僕「工事担当者に、商社と直接連絡をとってもらい、Low-Eガラスを使用しているとの商社からの回答が得られました。」

 

すると客から、全く予想だにしない返事が返ってきた。

 

客「いや商社から回答が得られましたじゃなくて、しっかりとした裏付けをくれって言ったんですよ。

Low-Eガラスを使用しているっていう証拠となるようなものを "書面" で用意しろっていう意味です。

 

 

もちろん書面で用意できるのであればそれが理想的だ。

 

ただ僕がそういった書面を用意しなかったのには理由がある。

 

工事担当部署から電話がかかってきたとき、担当者はこうも言っていたのだ。

 

 

工事担当者「うちの会社で使用しているガラスはうちの会社用に卸しているオリジナルの商品らしく、市販されているものではないらしい。

だからホームページとかを見ても載ってないよ。」

 

この担当者の話に鑑みると、そのオリジナルのガラス商品に関する一切の資料はある意味、商社とうちの会社の内部資料になるのだ。

 

そんなものを、安易に外部の人間に渡すわけにはいかない。

 

そして何より一般に公開されていないのであれば、会社がそれを証拠として未だ契約すらしていない消費者に提示する必要がない

 

僕はもうそのままを伝えた。

 

 

僕「いえ資料はあるのですが、それは社外秘なのでお渡しすることはできません。」

 

 

すると客の怒りは案の定エスカレートしていく。

 

 

客「もし渡せないんだったら僕はLow-Eガラスを使用しているかしていないか分からないまま契約をしなければいけないんですか?

それはありえないですよね?

もし渡せないなら、契約書に

"もし契約後にLow-Eガラスが使用されていなかった場合、当該物件のガラスをすべてLow-Eガラスに変更するものとする"

という文言を盛り込んでください。」

 

とんでもない要求をしてきたのだ。

 

この場合、Low-Eガラスを100%使用している確固たる自信があっても契約書にそのような文言を入れることはできない。

 

今後その文言が行使されることはなかったとしても

Low-Eガラスに交換させられるような状況にならなかったとしても

 

そのような内容の契約をしたという事実が文書として残ってしまうということ

 

これがマズいのだ。

 

会社にそんなリスクを負わせることはできない。

 

むしろ同業者なら、そんなことできないことくらい分かるじゃないか。

 

もちろん僕は

 

僕「いえ、そのような文言を契約書に入れることは出来ません。」

 

するとすかさず客は

 

客「いや、だってLow-Eガラスを使用しているんでしょ?

だったら入れられるでしょう。その文言も入れられない資料も見せてもらえない、じゃ僕はLow-Eガラスが使用されているかどうかに関して、安心して契約出来る材料が何もないじゃないですか。」

 

 

いよいよ僕は察知した。

 

 

この客とこのまま明日契約をしたら絶対にまずい。

 

 

僕は営業マンとして僅かながら持ち合わせていた危機管理能力をいかんなく発揮し、こう告げた。

 

 

僕「明日の契約はいったん延期しましょう。

まず、契約書にそういった文言を入れることは出来ません。

なので、ガラスの内部資料を渡していいかどうか本社の回答を得ます

恐らく数日はかかると思います。

いったん明日の契約はやめて、この件が解決してからにしましょう。」

 

 

客だって契約日を延期してじっくり考えられるのだ。

 

じっくり考えた末、契約をやめることだって選択できる。

 

なんなら契約をやめてほしいとすら僕は思った。

 

仮に平和的に契約を迎えられたとしても、こういう客とはあとで何かしらもめることになるのはもう火を見るよりも明らかだからである。

 

 

時間の猶予が与えられるこの提案に、客が反対するはずがない。

 

そう考えた。

 

しかし客は全く僕の予想を超える返答をしてきた。

 

 

客「いやいや、僕だって普段は不動産の営業マンをやっていて、時間がない中でこうして明日休みをとっているんですよ。

明日の契約を延期するなんてありえないです。

 

明日必ず契約をしに御社に伺います。

 

文言を盛り込んだ契約書か、ガラスの確固たる資料か、明日必ずどちらかを用意しておいてください。

 

わけが分からない。

 

なぜか売る側と買う側の立場がまるで逆になっているのだ。

 

僕は絶対明日契約をしたくない。

 

客は絶対明日契約をしたい。

 

なんなんだこの状況は。

 

斬新過ぎる。

 

ただ僕はなお、抵抗をする。

 

僕「いえ、このままの状態で契約をするのはお互いにとって望ましくありません。

 

契約は延期しましょう。

 

引き下がらない僕。

 

すると、客は方向性を変えてきた。

 

客「そもそもあなたはやることが遅いんですよ。

 

物件を案内してくれた翌日に会社の資料を見て"Low-Eガラスでした"って報告してきましたよね?

僕からすればまずそれがありえない。

 

僕だって長い間営業マンやってるんです。

 

その営業マンとしての立場から言わせてもらうなら、客から聞かれたことに関してはしっかりとした裏付けを提示するのが営業マンってもんなんですよ。

 

はっきりいってあなたは営業マンとしてレベルが低すぎますよ。

 

 

驚くことに客は明日の契約の話ではなく僕の人格攻撃を始めたのだ

 

 

分かってる、分かってるよ。

 

僕はまだまだ未熟な営業マンだってことくらい。

 

業界20年の経験があるあなたに比べて僕の知識が劣っていることくらい。

 

ただなぜそれを今この電話で指摘されなければならないのか。

 

ひたすら納得がいかなかった。

 

 

 

その後もいたちごっこは続き

 

 

客「いずれにしても明日契約しに行きますので、それでは

 

 

と言い放ち、最後は一方的に電話を切られてしまった。

 

翌日

 

とうとう契約日当日を迎えてしまった。

 

客は本当に来てしまうのだろうか。

 

そんなことを考えながら朝会社に出社すると、本社から電話がかかってきた。

 

 

本社「はま龍さん、会社のホームページの問い合わせからクレームが入ってます。

メールで転送するのですぐに確認してください。

 

 

そのように言われた。

 

まぁ恐らく昨日の件だろうな、とは思いながら転送されたメールを見てみる。

 

 

メール「明日契約をする者ですが、担当者のはま龍さんから現在契約の妨害を受けております。即時担当の変更をお願いします。

 

 

はぁ、やられたよ。

 

そんなことを思いつつ、仕方なく上司に頭を下げて代わりに契約をしてもらうようお願いをした。

 

上司にも散々文句を言われたが、代わってもらえることに。

 

 

 

 

しかし、結局その客は契約日にうちの事務所には現れず、今後一切連絡をしてくることはなかった。

 

 

僕は胸をなでおろした。

 

最後に

 

僕はもちろん未熟だった。

 

 

しかし、本当に僕の対応は間違っていたのか、今でも納得がいかない部分はある。

 

 

すぐにお客さんの疑問に答えるために、Low-Eガラスを使用していることの確認がとれた時点で、電話にて口頭で伝えたのはマズかったのだろうか。

 

通常お客さんに渡している会社の仕様書は正式な裏付けにならないのだろうか。

 

普段お客さんに渡していない内部資料をも提示しなければならないのだろうか。

 

通常取り交わしていないような文言を契約書に盛り込めという要求は一般的に消費者の要求として許容される範囲なのだろうか。

 

お客さんがわざわざ休みをとってくれたとはいえ、不安定な状況での契約を避けるために、日にちの延期を提案したことは契約の妨害になるのだろうか。

 

お互い折り合いがついていない状況で、企業に対して過剰な要求を突き付けた上で強引に契約に持ち込もうとする行動は社会通念に照らし、妥当性があると言えるのだろうか

 

 

 

会社を辞めた今でも僕は疑問に思っている。